SB Intuitionsは2026年10月29日、「Sarashina3.2 mini thinking」を発表しました。回答を出す前に検討を行う国産の思考モデルで、Sarashinaサービスに追加されています。文章から必要な項目を取り出す作業や、外部システムを使う対話などへの活用例が示されています。公式紹介

日本語の業務でAIを使う選択肢が増えるニュースですが、無償ベータに顧客情報をそのまま入力して試すのは避ける必要があります。 性能とともに、データの扱いや利用条件も確認しておきたいところです。

文章をAIで検討し、表や問い合わせ対応に使う情報へ整理する流れの概念イラスト

画像は情報整理と人による確認の概念イラストです。実際の画面や処理手順ではありません。

思考の深さを用途に合わせて選べる

思考モデルは、回答前に候補を検討するための処理を行うモデルです。Sarashina3.2 mini thinkingでは、APIから思考レベルをlow・medium・highの3段階で指定できます。APIは、自社のアプリからAIを呼び出すための接続口です。公式モデル仕様

業務での評価では、すべてをhighにするより、必要な正確さと待ち時間を比べるのが実用的です。短い文章の分類と、複数の条件を照合する作業では、求める処理が異なります。同じ入力を使い、結果の正しさ、人の修正時間、応答時間を合わせて比較すると、設定を選びやすくなります。

どんな仕事で試す価値があるか

公式の紹介では、検索を伴う回答、文章から表などへの情報抽出、注文情報や規程を参照するカスタマーサポートが例として挙げられています。これらは提供元の実演であり、そのまま自社業務で同じ結果が出る保証ではありません。活用例

検証の題材としては、たとえば次のような作業が考えられます。

  • 文章の整理: 架空の問い合わせ文から、用件・希望日・不足情報を決めた形式で取り出す。
  • 回答案の作成: 公開している商品説明と規程を使い、問い合わせへの回答案を作る。
  • 条件の照合: 人が用意したサンプルの注文状態とルールを照合し、担当者へ確認すべき点を挙げる。

最初は結果を表示するだけにとどめると、誤りがあっても実際の注文や契約に影響しません。キャンセルや返金などの操作をつなぐ段階では、許可する処理、本人確認、人による承認、操作記録を別途設計する必要があります。

無償ベータの条件と入力データに注意

Sarashinaサービスは10月13日に無償ベータとして始まり、Googleアカウントで利用できます。終了時期は未定で、利用データをモデルやサービスの改善に活用する場合があると案内されています。サービス開始時の公式案内

利用規約では、日本国内に居住する個人または国内に本店がある法人を対象としています。また、特定の個人を識別できる情報の入力は禁止され、入力・出力データをモデル学習などへ利用できると定められています。学習利用の拒否は有償プランに関する規定で、無償ベータでも拒否できるとは読めません。利用規約第3条・第10条・第11条

そのため、試す場合は自作の架空データや、入力する権利と条件を確認した資料を使うのが適切です。「国産だから秘密情報を入れてよい」と判断せず、顧客との契約や社内ルールにも照らして確認しましょう。この記事では、個別の商用システムに組み込めるか、将来の有償プランの料金や条件までは確認していません。

APIには利用回数の上限もあります。確認時点では、mini thinkingは契約主体とモデルの組み合わせごとに1分30リクエストです。複数人が同時に使う機能や大量処理では、待機や再試行を含めた設計が必要になります。公式レート制限

得意な用途と、まだ確かめるべきこと

提供元の評価では対話や検索などの改善が示される一方、日本文化に関する質問では前世代より低い結果も報告されています。思考レベルを上げれば、あらゆる課題で一律に良くなるわけでもありません。自社の文章やルールに近いサンプルで確認することが重要です。公式性能評価

11月2日の安全性報告では、外部の文章に紛れた悪意ある指示への耐性なども検証されています。ただし、提供元による評価であり、実際の利用で情報漏えいや誤操作が起きないという保証ではありません。安全性の公式報告

まずは一つの業務を選び、人が確認できる小さな検証から始めるのが現実的です。回答の自然さだけでなく、事実を取り違えていないか、決めた形式を守れるか、人の手直しを含めて負担が減るかを見ると、導入の判断につながります。

情報確認日:2026年11月7日。サービスの提供条件・利用制限は変更される場合があります。